まもれ!関節 / リウマチ(関節痛)について、症状から治療法までを千葉の専門医が詳しく解説

まもれ関節

  • 【 監修 】
  • 浦安せきぐちクリニック

リウマチの治療

関節リウマチの治療目標である寛解とは

寛解(かんかい)とは、関節リウマチの症状が無くなった状態のことです。 近年の治療法・治療薬の進歩により、関節リウマチの治療目標は「痛みの緩和」から、「寛解の状態へ導く」というように変化してきました。

関節リウマチにおける寛解は3つあり、以下のとおりです。

このような寛解の状態に導くことが達成できれば、抗リウマチ薬を服用しながらではありますが、支障のない社会生活を送ることができるようになります。

関節リウマチの治は薬物治療が中心

関節リウマチの治療法としては、薬物療法、手術療法、リハビリテーションなどが挙げられますが、基本は薬物療法となります。近年、治療薬は急速に発展しており、早期発見・早期治療をすれば症状が改善する方は増え、実際に関節手術をされる方は減少しています。

関節リウマチに用いられる薬は、消炎鎮痛薬(NSAIDs)、抗リウマチ薬(DMARDs)、ステロイド、生物学的製剤などがありますが、原則として(使用上の禁忌がなければ)まず使用すべき薬はメトトレキサート(リウマトレックス)だと考えます。そして病気の勢いがコントロールできなければ、レミケード®、エンブレル®、アクテムラ®、ヒュミラ®、オレンシア®などの生物学的製剤を検討します。もちろん、これは原則ですので、他の抗リウマチ薬も選択可能です。

2013年には、ヨーロッパリウマチ学会よりどのように治療したらよいのかという勧奨がなされました。ややわかりにくいかもしれませんが以下にお示しします。

●消炎鎮痛剤(NSAIDs)
関節の腫れや痛みといった症状を和らげる効果があります。病気自体の進行や関節破壊をおさえることはできませんが、速効性があるため日常生活を送る上で役立つ薬です。しかし、継続的に 使用する場合には、副作用である胃潰瘍や十二指腸潰瘍にも注意が必要となります。
●抗リウマチ薬(DMARDs)
関節リウマチの原因である免疫異常を改善させることにより、病状の進行を防ぐ効果があります。
その中でもメトトレキサート(リウマトレックス)は、7割を超える方が服用しており、リウマチ治療の中心となっています。
●ステロイド
強い抗炎症作用があり、他の薬での効果が芳しくないとき、主に使用します。
専門医の指導のもと、感染症や糖尿病、骨粗しょう症などを十分に監視・予防しながら、副作用を 最小限に抑えて使用すれば、有効な薬です。
●生物学的製剤
近年用いられるようになった新しい治療薬で、生体が作る物質を薬剤と使用するものです。
リウマチってどんな病気?のページでも述べた、関節リウマチの症状を引き起こすサイトカインと呼ばれる物質に作用して、症状の進行を抑えます。
以下の項で、生物学的製剤について詳しく述べます。

新しい治療薬 生物学的製剤ってなに?

抗リウマチ薬であるメトトレキサート(リウマトレックス)を一定期間使用しても、病状をコントロールできない場合、生物学的製剤の使用を検討するべきだと考えます。これらの新しい薬は、抗リウマチ薬に比べても数倍高い抗炎症効果があります。

現在、国内で使用できる生物学的製剤には、レミケード®、エンブレル®、アクテムラ®、ヒュミラ®、オレンシア®、シンポニー®などがあり、いずれも有効性の高い薬です。これらの生物学的製剤は、点滴または皮下注射で投与します。薬の種類によって投与のタイミングが異なりますので、専門医の指示にしたがいましょう。

生物学的製剤といままでの薬との違い

これまで主に使用されてきた抗チウマチ薬は、関節リウマチを引き起こす免疫の異常を修復することで、症状を改善する働きがありました。しかし、これだけでは、多くの方で十分に病気の進行を止めることができませんでした。

生物学的製剤は、その免疫異常を起こす炎症性サイトカインと呼ばれる物質(TNF、IL-6等)の働きを止める薬とサイトカイン産生へと導く前段階である免疫反応をコントロールしている T細胞の働きを抑える薬があり、関節の変形・破壊を止める働きや、関節の腫れ・痛みを改善する効果が飛躍的に上がりました。

生物学的製剤の使用

関節痛朝のこわばり

関節リウマチは、発病後なるべく早い時期からメトトレキサートなどの抗リウマチ薬で治療することが重要です。

しかし、抗リウマチ薬のみで症状や関節所見が十分に改善しない時には、生物学的製剤を使用します。
生物学的製剤は生物学的製剤はメトトレキサートと併せて使うことでより高い効果が得られます。

生物学的製剤の種類

TNF阻害薬

TNFという関節リウマチの方の関節で免疫の異常を起こしている物質の働きを阻止し効果を発揮する薬です。TNFが作用しないように、TNFがくっつく場所をブロックするタイプ(受容体製剤)と、TNFが作用する前に捕まえてその作用をブロックするタイプ(抗体製剤)の2種類があります。
TNF阻害薬は世界的に使用期間が長いため多くのデータが出ているので、生物学的製剤の基準薬と なっています。

●レミケード®(抗体製剤)
点滴するタイプで、初回と2週後、6週後の治療が終わったら、8週間おきに点滴します。
点滴のため数日間の入院をすることもありますが、基本は外来での点滴です。
●エンブレル®(受容体製剤)
皮下注射するタイプで、効果の持続時間がとても短いため、週に2回の注射を続けます。
原則として週2回病院に通うことになりますが、自宅でご自身が薬を調整して注射する方法(自己注射)を選ぶこともできます。
●ヒュミラ®(抗体製剤)
皮下注射するタイプで、効果の持続時間が長いため、2週間に1回の注射で治療が行えます。
通院で注射することもできますし、自己注射をすることもできます。
●シンポニー®(抗体製剤)
4週に1回の皮下注射。自分では注射せず、医院や病院などで皮下注射をしてもらうので、注射は自分では無理という方におすすめです。
メトトレキサートとの併用でより一層効果が高まり、他の皮下注射製剤に比べると注射部位の痛みはほとんどありません。 効果と副作用は他の薬剤と同様です。
日本では、2011年から使用できるようになったため日本人でのデータを蓄積中。。

★表の緑の部分…高額療養制度が適用されます

★表の緑の部分…高額療養制度が適用されます

●シムジア®(ペグ化抗体製剤)
2週に1回の皮下注射。ただし、初回、2週後、4週後には2本(400mg)ずつ皮下注射し、その後、1本(200mg)を2週間隔で皮下注射します。
症状が安定している場合には、2本(400mg)を4週間隔で皮下注射することもできます。
他の抗TNFα製剤に比較してシリンジも工夫されていて使い易いという特徴があります。
メトトレキサートと併用も可能で、その効果と安全性は他の抗TNFα製剤と同様ですが比較的早く効果が現れるのが特徴です。

シムジア

IL-6阻害薬

最近の研究では関節リウマチの方の関節では、IL-6という物質も関係していることが明らかになってきました。
IL-6受容体に対する抗体製剤は、その物質の働きを止める薬です。

●アクテムラ®(抗体製剤)
点滴注射するタイプで、月に1回点滴します。点滴に数日間の入院をする場合がありますが、外来で点滴することも可能です。
T細胞阻害薬

免疫があやまって自分の身体を攻撃しないよう、免疫を司るT細胞の働きを抑え効果を発揮する新しいタイプの薬です。

●オレンシア®
点滴注射するタイプで初回、2週間後、4週間後の治療が終わったら、4週間おきに点滴します。 点滴に数日間の入院をする場合もありますが、外来で点滴することも可能です。 2013年から皮下注射も可能となり、より効果を高めるために治療初日は、点滴静注と皮下注射を同日行い、その後、週1回皮下注射を行います。
また、最初から週1回の皮下注射から開始することも可能です。
JAK阻害薬
●トファシチニブ(ゼルヤンツ®)
改善・関節破壊進行の抑制・身体機能の改関節リウマチの臨床症状の善が臨床試験により証明された経口薬です。  2013年3月に承認されましたが、日本リウマチ学会によるとメトトレキサート週8mgを超える用量を3ヶ月以上継続してもコントロール不良の関節リウマチの方に使用されることが望ましいとされております。
また、安全性の面からもメトトレキサートの服用ができない方は、お勧めしないことが望ましいとされております。トファシチニブ(ゼルヤンツ®)は、1回5mgを1日2回服用します。

◎トファシチニブ(ゼルヤンツ®)の利点

×トファシチニブ(ゼルヤンツ®)の欠点

メトトレキサート(MTX)の関節リウマチ治療

●治療方法

1.投与条件
関節リウマチの診断を受け、尚且つ予後不良と思われる方では、効能や利便性等と副作用等のバランス(リスク・ベネフィット)を考えた上、メトトレキサート(以下MTXとする) を第1選択薬として考慮します。  また、本剤成分への過敏症、妊娠中の方、胸・腹水を認める方や、重大な感染症や血液・リンパ系・肝・腎・呼吸器障害の方には投与することができません。軽度の臓器障害や高齢者,低アルブミン血症の方に関しては、経過観察の上での投与となります。
2.用量・用法
①用法
MTXの投与量は、1週間あたり1回または2~4回に分けて投与します。また、投与間隔は12時間間隔で、1~2日間かけて経口投与します。1週間の投与分を1回ですべて投与することも可能ですが、1週間の投与量が8mgを超える場合は、分割投与いたします。 また、安全性の面からもメトトレキサートの服用ができない方は、お勧めしないことが望ましいとされております。トファシチニブ(ゼルヤンツ®)は、1回5mgを1日2回服用します。  ②用量
MTXの投与開始時は1週間あたり6mgとされています。この投与量は疾患活動性,副作用危険因子や予後不良因子を考慮した上で、適宜増減します。
MTXによる治療開始後,4~8週間程経過しても効果が不十分とされれば投与量の見直し、増量します。また、忍容性に問題なければ1週間あたり16mgまで漸増することで、リウマチにおける有効性は用量依存的に向上します。  他の低分子抗リウマチ薬や生物学的製剤との併用利用の際に、MTXの用量は、MTX単剤治療の場合と同量を使用できます。
3.葉酸製剤との併用
葉酸製剤の、MTXとの併用投与を強く勧めています。
その理由として、葉酸製剤との併用投与は、用量依存性副作用の予防や治療に有効とされています。なので、MTXを1週間に8mg以上の投与をしている場合や副作用のリスクが高い場合では、葉酸との併用投与を強く勧めているのです。  ①用法・容量
MTXの最終投与後24〜48時間後に、葉酸製剤を1週間あたり5mg以内の用量を投与します。投与する葉酸製剤は通常、フォリアミン® を使用しますが、重篤な副作用時には、活性型葉酸製剤ロイコボリン® を使用します。
4.投与する前に
MTXの薬効や活性を示すものを探すため、MTXを投与開始する前に様々な検査を行います。
リウマチ活動性評価とMTXの副作用危険因子の評価に必要な末梢血検査、赤沈、一般生化学検査、免疫血清学的検査ならびに肝炎ウイルスのスクリーニング検査、胸部X線検査をいたします。
5.投与中
①全期間
MTXの投与を開始したら、安全性と有効性のためモニタリングを行います。モニタリング(検査)内容として、末梢血検査(MCV、白血球分画を含む)、赤沈、CRP、生化学検査(AST、ALT、アルブミン、血糖、Cr、BUN)および尿一般検査をします。  このモニタリングのための検査は投薬開始後または増量後6カ月以内に関しては、2~4週ごとに行うのが望ましいとされています。  投与量の決定後、その有効性の確認がされた後は、4~8週ごとに行います。但し、胸部X線検査については年1回の検査をします。有効性の判定については、リウマチの疾患活動性と関節画像による評価をします。  ②周術期
整形外科予定手術の周術期の週12mg以下のメトトレキサート(MTX)の継続は、術後合併症や創傷治癒には影響せず関節リウマチの再燃を少なくするため継続は可能です。整形外科予定手術以外の手術やメトトレキサート(MTX)の投与量が1週間あたり12mg超の高用量投与における手術の際には、個々に考慮し継続、一時中断などを判断いたします。   ③妊娠・授乳希望
MTX投与中は子供へのリスクを考慮し、避妊を推奨します。
投与中の方が妊娠を希望された場合には、女性も男性も妊娠計画の3カ月前には少なくともMTXの投与を中止することを推奨いたします。 また、授乳中に関しても、MTXの投与はいたしません。

●副作用

当院では、MTXの投与開始時に、副作用の予防、早期発見・治療のために、主な副作用の初期症状を十分に説明します。また投与継続中に関しましても、不明点や心配事などありましたら、ご説明いたします。
骨髄障害や間質性肺炎、感染症といった重篤な副作用に関しては、危険因子の評価と予防対策を行ったうえで、発生時には適切な対処をいたします。

こんなときはメトトレキサートを一時飲むのをやめましょう

以下のような場合にはメトトレキサートの服用を一時お休みすることで、副作用が予防できる可能性が高まります。
1~2週のみメトトレキサートを止めてもリウマチがすぐに悪化することは通常ありません。まずメトトレキサートを中止して、早めに医療機関に連絡または受診してください。
また手術や抜糸をうける場合にはあらかじめ主治医に相談しましょう。

①感染症が疑われるとき
かぜ症状(のどの痛み、頭痛など)が強いとき、微熱が続くとき、38℃以上の高熱が出たとき、咳や淡の多いとき、いつもと違う息苦しさがあるとき、リンパ節の腫れ、排尿時の痛みなどの膀胱炎症状があるときには、服用を一時中止しましょう。
②以前にはなかった口内のただれがあるとき
メトトレキサートの副作用に口内炎があります。メトトレキサートを飲みはじめたり、増やしたあとに新しい口内のただれがいくつもでてきたときには服用を一時中止しましょう。
③脱水症状(尿の出が悪い、口が強く渇く)が強いとき
熱中症、食欲低下、嘔吐、下痢などで脱水症状(尿の出が悪い、口が強く渇く)が強いときには服用を一時中止しましょう。このようなときにはメトトレキサートの副作用がでやすいので、服用をやめましょう。
④皮膚に症状がでたとき
帯状疱疹(ヘルペス:チクチク痛む水疱がまとまってできる)、蜂巣炎(皮膚・皮下の細菌による化膿性炎症)や、からだの広い範囲に皮膚の症状がでたときには服用を一時中止しましょう。

生物学的製剤の副作用

速やかに主治医にご相談を!

生物学的製剤は免疫の働きを抑えますので、感染症(細菌性肺炎・結核・など)にかかりやすくなります。マスクの着用やうがい手洗いなど、感染の予防に気をつけるとともに、熱や咳などの症状が出た際には速やかに主治医に相談することが肝心です。

また、アクテムラ®やレミケード®、オレンシア®は点滴注射のお薬ですので、点滴の際、一過性の発疹や頭痛などがみられることもあります。 投与時反応がでにくくする管理をすることが大切です。 一方、エンブレル®、ヒュミラ®、シンポニー®、シムジア®は皮下注射ですので注射した部分が赤く腫れることもあります。

生物学的製剤を選択できない場合

関節リウマチの勢いが強く、このままでは関節破壊が抑えきれないときには現時点では生物学的製剤による治療が主流となりますが、高額であるがため、その恩恵に与かることのできる方は限られてしまいます。

日本で行われた試験結果をもとにデノスマブ(プラリア®)という皮下注射が、関節リウマチの治療薬として認められました。骨粗鬆症の治療に用いられていた薬剤です。骨破壊は破骨細胞が深く関係しているため、破骨細胞の働きが抑えられると効果的です。デノスマブ(プラリア®)は、破骨細胞の働きを抑えるから、関節リウマチの骨破壊にも有効です。

デノスマブ(プラリア®)の使用方法

デノスマブ(プラリア®)60mgを6ヶ月に1回皮下注射が基本です。

なお、デノスマブ(プラリア®)60mgを6ヶ月に1回皮下注射をしても骨破壊の進行が認められた場合には、3ヶ月に1回の皮下注射に変更をすることが可能です。 デノスマブ(プラリア®)は、関節の腫れや痛みには効果が乏しいため、抗炎症作用を持つ抗リウマチ薬と併用することが基本です。 金額は保険が使えますので3割負担の方ならば年で約17000円、1割負担の方ならば約5700円。 年で約50万円の生物学的製剤を使用した場合を想定すると、その負担は少なくて済みます。

生物学的製剤の治療を受けている際の注意すべき感染症

関節リウマチにおける生物学的製剤の治療を受けている際の感染症として、まず注意しなければならないものは 細菌による肺炎です。

この細菌性肺炎は、肺胞内に侵入した細菌が増殖することで発症しますが、われわれの体には細菌に対する攻撃部隊 である好中球がもともと備えられております。しかし、せっかく備えられていても実際の感染部位に到着するのに約24時間くらいかかってしまいます。24時間後くらいから、やっと攻撃部隊が感染部位に到着し攻撃を始め、感染部位が徐々に限局されていきます。これが肺炎治癒の流れです。

この攻撃部隊である好中球を感染部位まで、効率よく誘導するために重要なものがTNF、IL-1、IL-6、 IL-8などのサイトカインと呼ばれる物質です。生物学的製剤が抑えているものの代表といえば、TNF、IL-6です。つまり、生物学的製剤治療中は攻撃部隊を感染部位まで誘導する力が落ちていると考えてしまえば、細菌感染である細菌性肺炎の発症頻度が多くなるのも、なるほどと思いませんか。

関節リウマチのQ&A

関節置換術を受けていても、生物学的製剤を使うことはできますか?

使うことはできます。生物学的製剤の投与中に手術が行われることがあります。術後の投与の再開は、傷がほぼ完治し、感染症などを起こしていないことを確認するなど、術後経過を見ながら主治医と相談して決めていきます。

レミケード®
--- 最終投与より4週間の間隔後に行うことが推奨されています。
エンブレル®
 --- 最終投与より2~4週間の間隔後に行うことが推奨されています。
ヒュミラ®
 --- 最終投与より2~4週間の間隔後に行うことが推奨されています。
アクテムラ®
 --- 最終投与からの間隔に関しては、一定の見解がまだ得られていません。
オレンシア®
 --- 最終投与より10日以上の間隔を空けて行うことが推奨されています。

エンブレル®やヒュミラ®の自己注射はどんな人でもできるのですか?

自己注射ができるのは、以下の条件をすべて満たした方です。

●通院で既に1ヶ月以上の効果が確認されており、治療継続に支障がないこと。
●自身が自己注射を望んでいること。
●ご本人あるいはご家族が自己注射に関する指導を十分に受け、 自己注射が安全かつ正しく行えると主治医が判断すること。
●自己注射で注意すべき点を正しく理解し、 「自己注射移行の同意書」に署名すること。

生物学的製剤による治療は、ずっと続けなければなりませんか?

生物学的製剤の中でもレミケード®については発症2年以内の早期から使用を開始し、薬がよく効いた方は、1年程度のレミケード®による治療の後に、治療を中止しても良い 状態が維持できたという方もいます。
しかし、発症してから長時間が経過してしまった方では、治療を途中でやめると症状が悪化する場合が多くみられ、原則として治療を続けた方がよいと考えられます。
生物学的製剤の効果が出たら、ステロイド薬や抗リウマチ薬は止められますか?

止められます。特に、鎮痛薬(非ステロイド系抗炎症薬)は、減量したりあるいは中止できる方が多くいます。また、ステロイド薬も減量できます。様子をみながら徐々に減らしていき、いずれは中止できることもあります。
また、TNF阻害剤とT細胞阻害薬(オレンシア®)は抗リウマチ薬、とくにメトトレキサートと併用した場合に最も良い効果が得られる薬なので、他の薬の服用をすべて止めてしまったとしても、抗リウマチ薬とTNF阻害剤、T細胞阻害薬による治療だけは継続したほうが良いでしょう。 アクテムラ®に関しては、他の抗リウマチ薬と併用をしなくとも十分な効果が期待できるので、この場合もステロイド薬と同様に様子を見ながら抗リウマチ薬の減量・中止が可能となります。
痛みのため非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を内服しておりますが、妊娠中も飲み続けても大丈夫ですか?
影響がでる妊娠32週までに中止してください。

授乳中のリウマチ治療はどうしたらよいのですか?

授乳中のリウマチ治療薬については、母乳はかなり大切であり、リウマチ治療を優先しなければならないほどリウマチの勢いが強いかどうかで治療薬を決めるということになります。 リウマチ治療を優先しなければならないときには断乳し、しかるべきリウマチ治療薬を選択することになります。
断乳がどうしても困難な場合は、エタネルセプト(エンブレル®)は比較的安全かもしれません。しかしながら安全性を保証しうる確実な根拠に乏しいともガイドライン上はされておりますので、個々に判断していかなければなりません。
朝のこわばりとは

朝起きてしばらくは関節が思うように動かないことです。
朝のこわばりがひどく、早朝の家事や仕事がつらいことがあります。
B型肝炎の有無について、治療前に調べる必要がありますか?

B型肝炎を知らずに関節リウマチの治療を行うと、肝不全になることがありますので必ずB型肝炎については調べていただくようにしてください。
関節リウマチと診断されました。安静にしていた方が良いのですか?

関節リウマチの勢いが強いときには安静にしている方がよろしいのですが、落ち着いてきたら徐々に体を動かす方がよろしいです。リウマチ体操など自宅で簡単にできる運動がありますので詳しくは主治医に相談してください。
喫煙していますが、関節リウマチが心配です。喫煙は大丈夫でしょうか?

喫煙自体、良いことではありません。心臓血管系へ影響します。関節リウマチ発症に関しての検討では関節リウマチ発症の環境要因のひとつと言われております。関節リウマチの治療にも多少影響しますので、喫煙はしない方がよろしいです。節煙では、効果がないため禁煙することが大切です。禁煙が難しい方は、禁煙外来に是非ご相談ください。
ストレスが関節リウマチの悪化に影響しますか?

多少なりとも影響しますので、休養を良く取りストレスを減らすことが大切です。

関節痛があるときには、温めた方が良いのですか?冷やした方が良いのですか?

関節の腫れがあまりなく痛みだけのときには、温めた方が良いことが多いです。関節が腫れ痛むときには、冷やす方が良いことが多いです。なお、個人差がありますので、効果が乏しければ冷やすのを温めたりと逆にしてみるのもご一考ください。
関節リウマチと診断されたのですが、子供に遺伝しますか?

確実に遺伝するわけではありません。
ある家系調査では、関節リウマチと診断された方の三親等以内で、関節リウマチと診断される割合は3人に1人くらいという報告がありますが、一卵性双生児の検討において関節リウマチと診断された場合は、15~30%の確率でもう一人が関節リウマチと診断されます。二卵性双生児の場合には頻度が少なくなり約7%と言われています。つまり、関節リウマチそのものが次世代に確実に遺伝し発症してくるわけではなく関節リウマチになりやすいという遺伝的素因が受け次がれると言われております。
生物学的製剤治療を受けているときのワクチン接種の注意点について教えてください。

日本リウマチ学会のガイドラインには、いずれの薬剤でもインフルエンザワクチンは可能な限り接種すべきであり、肺炎球菌ワクチンも考慮すべきとされております。
オレンシア治療を受けておりますが、インフルエンザワクチンを受けても大丈夫?

インフルエンザワクチンとオレンシア治療を同時に行うことで免疫に関して影響がでることはございません。ただし、副作用が出た場合には、どちらが原因かがわからなくなるためオレンシア治療を受けられる前にインフルエンザワクチンを受けた方が望ましいです。
メトトレキサートを内服しておりますが、葉酸を服用するようにと言われました。

週8mg以上を服用された場合には、内服を勧める場合がございます。葉酸の服用によって、嘔気、嘔吐、胃腸の痛みなど胃腸のトラブルや肝機能障害を守ってくれるためです。

生活のなかで気をつけること

①安静を基本に、リハビリを兼ねた運動も

関節リウマチの症状は関節痛だけでなく、微熱や倦怠感など全身症状を伴うことがあります。主婦の方など、家事の合間にでも疲れたら休息をとることが大切です。もちろん、睡眠も十分 にとりましょう。関節に負担をかけないという意味でも、やはり安静が基本です。

しかし、ストレスをためることも、病気にとってはよくありません。また、筋肉がおちてしまうと結果的に関節を痛めてしまうこともあります。安静にしていて症状が治まったときや「今日は調子がいいな」という日は、リハビリを兼ねて少し身体を動かすことをおすすめします。

②関節を温めるほうがいいの?それとも冷やす?

関節を冷やしてしまうと、関節痛は強くなってしまう傾向があります。寒い季節はもちろんのこと、夏でも冷房が直接あたるのをさけて、服装に気をつけたり、ひざ掛けを使うなどしましょう。 しかし、関節の炎症が激しいときなど、患部をあたためてしまうと余計に痛みが増してしまうことがあります。

「温める」と「冷やす」を使い分けて、できるだけ痛みなく生活できるよう工夫しましょう。

関節りゆう患者さんが利用できる医療制度

医療保険制度

医療保険の種類
被保険者保険職場で加入する医療保険 健康保険組合
全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)
共済組合 国家公務員、地方公務員、私学教職員
船員保険
地域保険
地域住民が加入する医療保険
国民健康保険 農業・漁業・自営業・自由業など
後期高齢者医療
75歳以上の方が加入する医療保険
後期高齢者医療制度

国民は保険体制によって、いずれかの医療保険に加入しています。そのため、保険医療機関にかかったときの自己負担額は医療費総額の原則3割となるのです。またその他にも様々な制度があり、状況により適用される制度が異なります。

高額療養費制度 医療費の自己負担額が一定の金額を超えた場合、超えた金額を医療保険が「高額療養費」として、被保険者に支給する制度です。
高額療養費貸付制度 高額療養費見込み額の8~9割の金額を無利子で貸し付ける制度です。
傷病手当金 何らかの病気や怪我で、就業出来なくなり、給料がもらえない場合に支給される制度です。

上記のような制度の他にも医療保険制度はあります。一度ご加入の医療保険をご確認の上、ご不明な点があれば各医療保険機関へお問い合わせください。

介護保険制度

介護保険制度とは、加齢などが原因で身体機能が衰え、日常生活に支障が生じた方のための介護サービス提供制度です。40歳以上の方は介護保険に加入し、被保険者となる義務があります。 介護保険被保険者の関節リウマチ等の特定疾病の方は介護保険制度の適用により、要介護度に応じて、予防給付及び介護給付を受けることができます。
介護サービス利用時の自己負担額は総額の1割となります。また、低所得者には軽減措置もあります。ただし、支給限度基準額を超えた分は全額自己負担となります。自己負担額が一定額を超えた場合、超えた額は市区町村から「高額介護サービス費」として支給されます。

申請から利用まで

申請
    申請対象者
  • 65歳以上の方(第1号被保険者)
  • 40歳~60歳の方で関節リウマチ等の特定疾患の方(第2号被保険者)
審査・判定 お住まいの市区町村へ申請後、訪問調査、主治医の意見書を基に審査・判定がなされます。
認定(利用開始) 該当すると認められると、様々なサービスを受けることができるようになります。

障害者福祉制度

障害者福祉制度とは、身体障害者手帳の交付を受けることで、医療費の軽減や手当の支給、福祉サービスなどが受けられる制度です。関節リウマチの方も障害者手帳の交付を受けることができます。 ただし、市区町村によって条件や内容は異なり、所得制限が設定されているものもあるので、お住まいの市区町村へご確認ください。
なお、障害者福祉制度と介護保険制度では、重複するサービスがあります。そういった場合、例えば40歳以上の方で、介護保険の認定を受けている場合は、原則として介護保険制度のサービス利用が優先となります。介護保険が適用されないサービスなどが必要な場合には、障害者福祉制度によるサービスが適用されます。

申請から利用まで

申請 身体障害者手帳を希望する方は、お住まいの市区町村の福祉窓口へ申請書、医師の身体障害者診断書などを提出し、申請を行います。
認定審査 各都道府県の認定審査が行われます。
認定(利用開始) 認定されると、身体障害者手帳が交付され、各サービスが利用で切るようになります。

医療費控除

医療費控除とは、被保険者本人やその家族の分を含めて、前の年の1月から12月の1年間に自己負担した治療上必要と判断された医療費が一定額を超えるとき、税務署に確定申告すると、納めた税金の一部が戻ってくる制度です。
1年間に支払った医療費が10万円(ただし、総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%の金額)を超えるとき、課税所得額から超えた額が控除され、税金が確定清算されます。ただし、健康保険から支給された給付金や生命保険会社等から支払いを受けた医療費を補てんする保険金などは、医療費申告額から差し引かれます。
申告は、医療費控除だけなら過去5年間までさかのぼることができ、確定申告期間以外でも1年中申告を受け付けています。申告書は各市区町村の税務署の窓口または、、国税庁のホームページ上で印刷できます。医療費控除申告には該当医療費の領収書が必要となりますので、必ず大事に保管しておきましょう。

特定疾患治療研究事業

特定疾患治療研究事業とは、難病の方の医療費を公費で助成するための制度です。
一般的に保険診療では医療費の原則3割が自己負担額となりますが、この事業の対象疾患の場合、自己負担額の一部または全額を国と都道府県が公費負担しています。
この対象疾患には「悪性関節リマウチ」も対象となっています。医療費の助成を受けるには、「特定疾患医療受給証」が必要となります。

駐車場・駐輪場あり
  • 浦安せきぐちクリニック
    (リウマチ専門医による治療)
  • 所在地:〒279-0004 千葉県浦安市猫実5-17-27
  • TEL:047-306-3557
  • 設備:エレベーター付き・全面バリアフリー
  • 休診日:水曜日午後・日曜・祝日

当クリニックでは、院長をはじめ関節リウマチ専門医がよくお話を伺い個人個人にあった治療を選び、納得のいく最適な治療を外来で行っております。

関節リウマチの勢いは診断後、3ヶ月、遅くとも6ヶ月以内に安定化させ関節破壊を防ぐことを信条に治療を行っております。
「現在の治療で良くならない」「もしかしてリウマチかも」などご心配のある方は、一度ご来院のうえご相談ください。

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